8月23日(金)〜24日(土)、東京藝術大学千住キャンパスにて開催された学生レコーディングコンペティション「サウンドアウォード2013」の当日の様子をお届けします!
23日がレコーディング部門、24日がサウンドデザイン部門と、2日間に渡り東京芸術大学千住キャンパス1階音響制作スタジオにて行われました。朝10時〜という時間帯にも関わらず、多くの学生が視聴に来場されました。
当日は各部門のファイナリストが作品に関する10分間のプレゼンテーションを行い、審査員の皆様からそれぞれの作品に対する講評を頂きました。
今回のファイナリストはこちらからご覧になれます。2chから5.1ch、音声のみのものもあれば映像作品もあり、モノラルのデザインもあればバイノーラルレコーディングもありで、非常に幅広い作品が選ばれました。
各部門の審査員の方々は次の通りです。(敬称略)
レコーディング部門
高田英男
ビクターエンタテインメント株式会社、ビクタースタジオ長。レコーディングエンジニアとして、歌謡曲、ロック、ジャズなどのほか、芸能山城組、鬼太鼓座など幅広いジャンルの録音を手がける。スイングジャーナル誌BEST録音賞、日本プロ音楽録音賞優秀賞、ステレオ誌ポピュラー部門年間最優秀録音賞などを受賞。現在サウンドプロデューサーとして、VICTOR STUDIO HD-SOUND(高音質配信)音創りをサポート。
深田晃
Audio Engineering SocietyのFellow、英国音響家協会会員。CBS/SONY録音部チーフエンジニア、NHK放送技術制作技術センター番組制作技術部チーフエンジニアを歴任し、現在数々のCD制作及びTV番組制作に関わっている。1997年のニューヨークでのAESコンベンションでは「Fukada Tree」を発表、様々な文献で紹介されている。多くのサラウンド番組制作・国際共同制作などにも関わり、ドイツ・カナダ・アメリカ・中国などでも多数講演を行っている。受賞歴は「日本プロ音楽録音賞最優秀賞」など多数。
吉田保
株式会社ミキサーズラボ所属レコーディング & ミキシング・エンジニア。東芝EMI録音部、RVC録音部、CBS/SONY録音部のチーフエンジニアを経て、様々なアーティストのレコーディングに参加している。山下達郎、竹内まりや、稲垣潤一、大滝詠一、吉田美奈子、浜田省吾、スクエアー、松田聖子、Kinki Kids、ゴスペラーズ等、多くのアーティストの名盤と呼ばれる作品を手がけられる。
サウンドデザイン部門
内村和嗣
NHK放送技術局制作技術センター 番組制作技術部 音声 専任エンジニア。AES日本支部役員。1982年(株)札幌映像プロダクションに入社、1995年(株)デジタルエッグに移籍、国内初の5.1 サラウンドMA室を構築させる。その後、1998年NHK入局。ここ数年は国際共同制作に多く携わり、様々なフォーマットに対応した国際的なコラボレーション制作のサウンド・スーパーバイザー、リ・レコーディング・ミキサー、サウンドデザイナー、及び放送センター内のサラウンド・ポストプロダクション・スタジオ更新に多く携わる。
喜多真一
TDKビデオセンターでサウンドエンジニアとしてキャリアをスタート。その後五反田イマジカを経て現在はソニーPCL株式会社に籍を置き活躍されている。ドキュメンタリー、ドラマ、PV、CMから、小劇場の芝居物のパッケージまで多岐に渡り手掛ける。現在は「上海万博日本産業館『宴』」上映作品のMIXを手がけるなど幅広く活躍されている。サラウンド作品は、K−1ジャパンシリーズ・ミュージカル「天使は瞳を閉じて」など。
沢口真生
サラウンド寺子屋塾塾長、UNAMAS JAZZレーベル プロデューサー/エンジニア、Audio Engineering SocietyのFellow。NHK制作技術センター長、パイオニア株式会社技術開発本部顧問を経て、現在は高品質音楽制作を行う等、録音、サウンドデザイン、サラウンド音響等多方面で絶大な活躍をされている。 近著は「サラウンド入門」(芸大出版)はじめ著書多数。
審査員の皆様による各作品への講評の他にも、レコーディング部門では5.1chサラウンドにおける様々な表現方法について、またそれらの先進的な表現においても重要になってくる録音の基礎的なポイント、クラシック演奏等におけるワンポイント録音でのEQ、コンプ、リバーブの使用について等、様々なアドバイスがされていました。また作品におけるエンジニアとしての立ち位置の話や、レコーディングという行為そのものについて深いお話をして頂きました。
サウンドデザイン部門では、ドラマにおいて特殊な表現をしたい場合の様々なサウンドデザインのあり方、スコアリングのミキシングについて、作品のダイナミクスの付け方について等、非常に実践的なアドバイスがされていました。
今回コンセプチュアルであり挑戦的な作品が多いなかで、やはりそれらを活かせるような基礎的なテクニックの重要さについて多く触れられており、改めて基礎の大切さを感じました。
今回応募に間に合わなかった学生の皆様も、是非次回に挑戦下さい!
AES日本学生支部支部長・サウンドアウォード2013 実行委員長
今村秀隆