こんにちは、支部長の今村です。
大変遅くなってしまいましたが、今年5月にイタリア・ローマにて開催された「AES 134th Convention」を、学生イベント中心にレポート致します。
今回我々日本学生支部からは、今村秀隆(東京藝術大学)がEngineering Briefにて論文のポスター発表、黒岩若菜(東京藝術大学)が「Student Recording Commpetition」に参加し、見事Sound for Visual Media部門のシルバー賞を受賞しました。
これらの様子もレポートしますので、少し長いですが是非ご覧ください。
Student Delegate Assembly 1
Student Delegate Assembly 1は、本部の学生支部が中心となって開催される学生総会です。
毎回コンベンションの初日に開かれ、コンベンションに来場しているほとんどの学生が集まります。今回は各国から70名程の学生の参加がありました。
コンベンションにおける学生イベントの紹介、参加者同士の自己紹介、次期支部長立候補者の紹介等が実施されます。 また一大イベントであるStudent Recording Competitionのファイナリストの発表も行われます。
今回唯一日本からRecording Competitionに参加した黒岩若菜さんですが、見事Sound for Visual Media部門のファイナリストに選ばれました。ファイナリストに選ばれた応募者は会期中に作品のプレゼンテーションを行います。その後、最終日のSDA2にてアウォードが発表されます。
ファイナリスト発表は非常に盛り上がります。
AES Student Meet-Up!
コンベンション初日の夜22時からはポポロ広場で学生ミートアップが行われました。学生同士の交流を目的とした飲み会ミーティングで、広場でワイワイとお互いの専門や音響に関する話をたっぷりしました。
毎年夏に開催されるアメリカでの大規模なコンベンションとは少し雰囲気が違い、我々のように各国から少人数で来てる学生も多く、それぞれが初対面であったこともあり新しい出会いがたくさんありました。
実は私は一昨年のNYコンベンションにも参加したのですが、専門のアメリカの学生達が固まって喋っててハードルが高すぎて全然友達が作れなかったのです。笑 今回はそれはもう、たくさんの人と仲良くなりました。
Student Design Competition
Student Design Competitionは、学生が開発した音響に関するソフト及びハードウェアのコンペティションになります。「Graduate level」と「Under Graduate level」の2部門に分かれており、事前審査で選ばれたファイナリスト3名が審査員の前でプレゼンテーションを行うイベントです。
例としては、スピーカ設計、DSPプラグイン、アナログハードウェア、信号解析ツール、モバイルアプリケーション、音声合成装置などなど。実装されてデモを行うことができ、オーディオに関する作品であれば応募が可能とのことです。
今回はPureDataを利用したインタラクティブな音楽視聴ソフト等を開発した学生が入賞しておりました。
他のファイナリスト達はこちらから見れます!
Student Design Exhibition
Student Design Exhibitionは、上述しましたStudent Design Competitionに応募した全ての学生が、自ら制作した作品を展示するイベントです。 今回は論文のポスター発表のように廊下にズラッと作品が並べられ、来場者は制作者に自由に話を聞き、デモを触ることができました。
実際にこの展示から仕事を獲得した学生もいるようで、キャリアアップにも繋がるイベントです。 個性的なアナログギターエフェクター、マイクプリアンプ、録音シミュレーター等、様々な素晴らしい作品が展示されていて、僕も非常に刺激を受けました。
Education Fair
Education Fairは、コンベンションに参加した大学や教育機関が、それぞれの概要やカリキュラムについてブースで発表するセッションです。 今回はバンフセンター、マギル大学、バークリー音楽大学、ショパン音楽大学、ハートフォード大学、ウィーン国立音楽大学、グネーシン音楽大学、SESMAなどなど、全部で10程の大学や教育機関による発表がありました。
日本からは東京藝術大学が参加し、特に音楽環境創造科プロジェクト3・6、また大学院音楽音響創造分野についての説明を行いました。
Education Forum
Education Forumは、SDA(本部学生支部)が中心となって行われるキャリア・教育に関するセッションです。参加者は、お互いがどのような施設・カリキュラムで勉強をしているか、また将来のキャリアビジョンなどについてオープンに議論していました。
Engineering Brief
Engineering Briefは、音響に関する様々なトピックに関するポスター及び口頭発表になります。発表内容がジャーナルなどには掲載されない為事前審査に通りやすいのですが、毎回本当に幅広い内容の発表が行われます。5ページ程のレジュメはAESのWebサイトから無料でダウンロードできるようになっています。(会員のみ)
今回のコンベンションで発表されたEngineering Briefのトピックはこちらから見れます。今回は信号処理、空間音響、室内音響に関わるトピックが多く見られました。
そして、私今村も今回初めてEngineering Briefのポスター発表に挑戦しました!
室内でスピーカーを使用した音楽再生を行う際に、一定の量の吸音材を使うにしてもどこに使えばどのように聴こえ方が変わるのか、という事を部屋の一次反射音に注目して調べた研究です。
“Influence of first reflections in listening room on subjective listener impression” Hidetaka Imamura, Atsushi Marui Toru Kamekawa, Masataka Nakahara
発表はもちろん英語です。持ち時間は2時間弱ですが、会場に到着し、ポスターを貼ってデモの準備をしている段階から興味を持って質問をしてきてくれたり、発表が終わった後でもう一回デモを聞かせてくれ!と言ってくれる人がいたりと、本当に充実しておりました。
論文でしか見たことの無いビッグネームが直々に色々なアドバイスをくれたりもしました。 大学での論文発表とは違い、エンジニア、研究者、メーカーといった様々な業種の人達と話ができたので、自分の研究を見つめなおすいい機会になりました。
Student Recording Competition
AESコンベンションの一大イベント、学生レコーディングコンペティション!
世界各国の学生が、「Traditional Studio Recording」、「Modern Studio Recording」、「Traditional Acoustic Recording」、「Sound for Visual Media」の4つの部門に作品をエントリー。見事事前審査を通過した各部門のファイナリストは、コンベンション期間中に会場にて作品プレゼンテーションを行います。
どの作品も非常にクオリティが高く、素晴らしかったです。 そして!今回Recording Competitionに参加した黒岩若菜さんですが、見事Sound for Visual Media部門で作品「さまよう心臓」がシルバー賞を受賞しました!おめでとうございます!!
コンベンションで他国の学生達の作品を聴くことも、また著名なジャッジと話ができることも本当に刺激になりますし、ぜひぜひ日本から今後も多くの学生が参加できると良いですね。
実は我々日本学生支部が開催している「サウンドアウォード」は、この本部のStudent Recording Competitionのルールにのっとって開催しております。目指せ本部超えのコンペティション!ということで、これからもよろしくお願い致します!