こんにちは! AES日本学生支部の佐藤です。
5月にイタリアで開催されたAES 144th Convention in Milan についてレポートします。
今回日本学生支部からは、筆者を含め4人の学生が参加しました。
それぞれ、Posterにて自身の研究結果について発表を行ったり、Student Recording Competitionに挑戦したりしました。
また、このConventionでも学生が積極的に様々な活動を行えることが特徴となっています。
その様子を含め紹介していきます!
このイベントは5月23日から5月26日の4日間、イタリアはミラノのNH Hotel Milano Congress Centreで開催されました。
具体的には以下のようなカテゴリで、4日間9時ごろから18時までぎっしりセッションが行われます。
Special Events: オープニングセレモニーやコンサートが行われる。今回はChiesa Cristiana Protestanteという比較的小さなプロテスタント教会でオルガンコンサートが行われた。
Exibit: 音響に関する様々な企業による製品展示。
Paper Session: プレゼン形式の研究発表。1人30分で様々な大学や研究機関で行われた最新の研究成果を知ることができる。
Poster: 様々なトピックのポスター展示。学生も多い。
Tutorial: 室内音響や信号処理といったトピックごとに、その分野の基本的な事項について勉強ができる。
Workshop: エンジニアや研究者達によるレクチャーや、シンポジウム形式の発表。
Student / Career Event: 教育関連や学生向けのイベント。Student Competitionや大学紹介フェアなどが行われる。
Technical Tour: 事前申し込み制の見学ツアー。今回はスカラ座やポーランドの放送局の見学が企画された。
いろいろな場所で一度にセッションが行われているため、事前に何を聞きに行こうか目星をつけておかないととても見切れません!!ほんとに盛りだくさんの内容でした。
それでは、今回のConventionで筆者が印象に残った発表をいくつか紹介したいと思います!
1つ目は2日目の朝に行われたRecording Technique for 3D Audio—Can Convenience and Aesthetic Coexist?というWorkshopです。
これは、私達の先生である亀川先生が代表として行っていたWorkshopですが、近年VRなどでも注目されている、3Dオーディオのレコーディング方法について3人のパネリストがプレゼンテーションするというものでした。
個人的に特に驚いた点は、あまりVRに関心がないと(勝手に)思っていたSCHOEPSというドイツの企業がVR用のレコーディングマイクを開発していたことです。そのマイクロフォンを実際に見ながらどのような経緯で作られたかという解説を聞くという、とても面白いプレゼンテーションが行われました。
2つ目は3日目に行われたThe Sound Will Take a Lead in VRというTutorialです。
これはVRゲームのサウンドデザインについて紹介するというセッションでしたが、なんと全員にBluetoothヘッドフォンが渡されて、実際にヘッドフォンで音を聞きながら発表を聞くというものになっていました。
最後は4日目の朝に行われたCreating Audio Plugins with MATLABというStudent 向けEventです。
これは、次回のConventionで新たに行われる、AES MATLAB Plugin Student Competitionの説明を兼ねて行われたセッションです。MATLABというプログラム環境を使って色々なVSTプラグインを作ろうという発表でした。私はあまりプログラミングが得意ではないのですが、それでも発表を聞いて、MATLABで容易くVSTが作れてしまうのではと思ってしまいました。。。
最後に紹介したセッションもそうですが、このAES 144th Conventionでは学生が中心となって参加できる企画が盛りだくさんです!
今回は筆者を含め2人がStudent Recording Competitionに挑戦しました。Student Recording Competitionには内容別に4つのカテゴリがあり、それぞれに世界各国の学生達が自分の録音・ミキシング作品を応募します。作品は1つ1つ、著名なレコーディングエンジニアや専門家達によって審査され、ファイナリストが選ばれます。
今回は残念ながらどちらもファイナリストに残ることはできませんでしたが、この経験を生かして、次回こそはファイナリストに残ってやるという気持ちでいっぱいです。
他にも、自身の作品をプロのエンジニアの人に聞いてもらえるStudent Recording Critiquesや各国の大学や企業について一対一で質問できるEducation/Career Fairなどがあります。
また、Posterでは日本学生支部の笠原さんが自身の研究成果について発表を行いました。
さらには、このConvention外でも会場で知り合った各国の学生たちと街に遊びに行ったりもできます、、!Conventionの終わりが18時とまあまあ早いのでそういった機会もいっぱいあります!
以上、AES 144th Convention in Milanの参加レポートでした。
音響のすべての分野について本当に色々な情報を得ることができたり、本や論文で見たことがある各国の研究者や企業の開発者と直接会える機会があったり、このAES Conventionは本当に貴重なイベントだと思います。
私自身は初めての参加でしたが、日本で普通に授業を受けていただけでは知ることができなかったであろう、様々な体験をすることができ、会期中も、そして終わった後もずっと衝撃を受けっぱなしでした。
もし少しでもAES Conventionに行ってみたいと思ったそこの君、
早速ここを押してAES会員になろう
さらに、8月にはこのConventionのInternational版である
2018 AES International Conference on Spatial Reproduction — Aesthetics and Science
が東京電機大学と東京藝術大学で行われます!(詳細はこちら)
そこでAES日本学生支部ではRecording Critiques on 3D-audio 2018と題して3Dオーディオ作品のための講評会を開催することになりました。
自身の3D音響作品を一線で活躍されているエンジニアの方々に聞いていただき、アドバイスをいただけるまたとない機会となっています!
さらにさらに、AES日本学生支部ではまだまだ面白いイベントを企画しています!
詳細は近日公開です!
今後ともAES日本学生支部をよろしくお願いします。